「歴史」とは何でしょうか。
私たちには縁のない、単なる過去の記憶、
教科書に載っている文字にすぎないのでしょうか。
例えば、日本の過去を問うアジアの人々の声は、
時の流れに消え去らせてよいものでしょうか。
長野の松代大本営地下壕そばに、かつて「慰安所」として使われた建物を復元し、「慰安婦」問題、強制連行といった「もうひとつの歴史」に光をあてる歴史館として再生させることを目指しています。

長野市松代(まつしろ)町に、かつて「慰安所」として使われた建物が残っていました。アジア・太平洋戦争末期、松代を中心に天皇や軍、政府の中枢を移転させるための巨大な地下壕掘削工事が行われた際、工事を指揮する人々のために設置された「慰安所」でした。この工事には、多くの朝鮮人労働者が動員され、過酷な労働を強いられました。「慰安所」におかれたのは、4人の朝鮮人女性でした。
取り壊される寸前だったこの建物を、なんとか後世に「歴史の証人」として残そうと、保存のための「松代・朝鮮人『慰安婦』の家を残そう実行委員会」が発足したのは、1991年6月のことでした。多くの方のご支援と募金により、同年、建物は移築・復元を目指して解体されました。
以来、私たちは、資材を保管する一方、この建物を、これから生きる世代に向けて歴史を語る現物資料として残し、歴史と向き合うきっかけとなる資料館の形で再生させたいと考え、活動を続けてきました。
1996年、建設のための土地約80坪を、長野市松代町の象山(ぞうざん)地下壕入口近くに、有志で購入しました。象山地下壕は松代町内にあるいくつかの地下壕の一つで、1年間に10万人近くの見学者が訪れています。これを機に実行委員会を拡大・改組し、「もうひとつの歴史館・松代」建設実行委員会となりました。
「慰安婦」問題、強制連行・強制労働、植民地支配など、時代の闇に葬られ、あるいは意図的に隠されてきた「もうひとつの歴史」に光をあて、直視することから出発し、アジアの人々とのつながりを模索する場にしていきたいと思っています。